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2018年(平成30年)10月1日 第94号(3)シンポジウム 2一般社団法人 全国病児保育協議会ニュース病児保育の現状と未来 シンポジウム2「病児保育の現状と未来」では、病児保育の現在の問題点と将来に向けた展望を講演していただき、総合討論を行いました。 自見先生は、政治家としての立場から病児保育が子育て支援(母子愛着形成を促すこと)を第一目的とした事業であることを強調し、科学的根拠のある母子保健を進めることの重要性を述べました。また、子ども政策をめぐる政治の動きとして、超党派の「成育医療等基本法設立に向けた議員連盟」、自民党の「児童の養護と未来を考える議員連盟」の活動を説明しました。 吉田局長は、保育については(1)ニーズに応じた受け皿の形成(2)保育の質の確保と向上(3)無償化、が大きな課題となっていて、女性の就業率が80%になっても問題のない保育基盤を作る目標の中で、病児保育は保育の受け皿の拡大という方向に位置づけられていると述べました。また、病児保育の委託料の改善、児童虐待防止対策についても言及しました。 今村先生は、日本医師会の勧める女性医師支援につシンポジスト:自見はなこ(参議院議員)吉田 学(厚生労働省 子ども家庭局長)今村 定臣(日本医師会 女性医師支援センター参与)大川 洋二(全国病児保育協議会 会長)報告者/座長:横田俊一郎(横田小児科医院 病児保育室JAMBO)報告者/座長:藤本 保(大分こども病院キッズケアルーム)いて概説し、子育て中の女性医師に必要な支援のトップが病児保育であることを示しました。また、日本医師会が2006年に「子ども支援 日本医師会宣言」を行い、この中で取り組むべき施策として病児保育を挙げていることを説明しました。 大川先生は、日本の最優先課題が少子化対策であり、そのためには結婚・子育てを優先したくなる社会を作り上げることが大切であると力説しました。保護者にとって子育ての危機となる子どもの病気のときに、安心してそれを乗り切れるために病児保育をさらに充実させることが必要なことを述べ、財政的な問題点も指摘をしました。 総合討論では、病児保育の質の評価について、広域利用について、保育士の処遇改善について、安全性の担保について、医療的ケア児の受入れについてなどが討議されました。保護者支援として母子同室制の導入なども視野に入れ、政治的なうねりにつなげることの必要性を確認してシンポジウムを閉じました。 このシンポジウムの特色はシンポジストの多彩さに示されている。現状の問題点を指摘し、将来に向けどのようにあるべきかが提言された。総合討論では多くの質問や意見がフロアからあり、特に吉田局長には多くの要望がなされた。それぞれのシンポジストの発言要旨を略述する。 自見 はなこ先生は、小児科専門医であり、国会議員として今後の母子保健を再構築する観点から、「子どもが真ん中」「科学的根拠がある母子保健」を強調され、母子愛着形成の概念を子育て政策に入れることが重要であるとし、病児保育の質を高めるための制度を充実するために努力すると述べられた。 吉田 学子ども家庭局長は、「子育て支援としての病児保育」という題で、国の保育政策の今後の方向を具であると米国のBright Futuresを紹介された。3名の著名な小児科医の実践発表を通じて、小児医療や病児保育の今後の展開の行方を示していただいた。そして、私たちも地域の子育て支援事業に参画できる可能性があると思われた。フロアからの質疑も活発になされ、病児保育施設と通園保育園との連携のあり方、保育系学会でのアピールを増やす、病児保育にも指針が必要、病児保育のエビデンスを作って外部へ発信することなどが話題となった。今回の研究大会の活況を反映した、希望が湧き、元気がでるシンポジウムであった。